民法改正 時効

弁護士による民法改正の説明、3回目は、引き続き、時効についてです。

Aさんは、Bさんにお金を貸しましたが、返してもらえないでいました。
だいぶ時間が経ってしまったので、そろそろ、時効と言われてしまうのではないか、心配になってきました。
Aさんは、何をすればいいのでしょうか。

以前、時効が止まる概念として、「時効の中断と停止」がありました。
これが、今回、時効の「更新事由と完成猶予事由」として整理されました。
時効の「中断」という表現は、一度、停止した後、途中から再開するという誤解を招きやすいことが理由とのことです。
実際には、これまでも、時効の中断があると、途中からではなく新たにスタートしていたわけですが、日本語として、誤解を招かない表現のほうがよいでしょう。
また、判例で認められていた概念も、明文化されました。

新147条1項 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を毛騎亜する」までの間は、時効は完成しない。
 1号 裁判上の請求
 2号 支払督促
 3号 民事訴訟法(中略)の和解又は民事調停法(中略)若しくは家事事件手続法(中略)による調停
2項 前項に場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって権利が確定したときは、時効は、同行各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。

新148条1項 次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終了の時から6箇月を経過する)までの間は、時効は完成しない。
 1号 強制執行
 2号 担保権の実行
 3号 民事執行法(中略)第195条に規定する担保権の実行としての競売の例による競売
2項 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合は、この限りでない。

新149条 仮差押え等による時効の完成猶予
新150条 催告による時効の完成猶予

旧147条は、下記の通りになっていました。
 時効は次に掲げる事由によって中断する。
 1号 請求
 2号 差押え、仮差押え又は仮処分
 3号 承認

新147条から150条は日本語としては長くなりましたが、解釈によって補われていた部分を明示することで、誰でも読めばわかる条文となりました。

生活にも深くかかわる民法という法律が読んでわかるということはとても大事なことですね。

冒頭のAさんとBさんの例だと、Aさんは、時効と言われないためには、裁判上の請求や支払督促を行うという方法があります。
これが、最も一般的な方法だと思います。

ただ、例えば、Aさんは、Bさんと友達で、Bさんは、今は一時的にお金がないけど、いずれは返さないといけないことは認めている場合でも、AさんはBさんを訴えなければいけないのでしょうか。
また、Bさんは、今は一時的にお金がないけれど、返済方法についてAさんと話し合いの最中で、もう少しでまとまりそうだというときにはどうでしょうか。
訴訟提起というのは、弁護士にとっては一般的な方法でも、なるべく避けたいと考えている方のほうが多いと思います。

続きは次回にします。

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