民法改正 法定利率

民法改正前、法定利率は年5%でした(商事債権は除く)。

法定利率は文字通り法定の利率で、旧民法では、利息を生ずべき債権について別段の意思表示がないときは、その利息は、年5分とされていました。

法定利率は、実際には多くの場面に関係します。

例えば、金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額(つまり、遅延損害金)は、法定利率によって定めるとされていました。ただし、当事者が約束した利率が法定利率を超えるときは、約定利率によります。

交通事故などの損害賠償の場面でも大きくかかわっていました

その交通事故によって本来得られるはずであった利益が失われてしまうことがあり、それを逸失利益とよんでいます。
例えば、交通事故の後遺障害で労働能力が14%喪失してしまった場合、典型的には下記のように計算します。
(もちろん、実際には、様々な事情を考慮されるので、一概にはいえませんが、ここでは典型例を載せます。)

収入(例えば、事故前の収入)×労働能力喪失率(後遺障害の程度による、例えば14%)×労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数

労働能力喪失期間とはその人が働くことができる期間のはずで、あと10年働けるという人には
基礎収入×労働能力喪失率×10年
で導くことができるようにも考えられます。

間違っているわけではありませんが、この逸失利益は、将来得られたはずの利益を賠償の場面では今受け取る側面があります。
つまり、2015年の事故で、2016年も2017年も2018年も働くことができなかった場合、本来得られるはずの利益は、2016年、2017年、2018年にそれぞれ得られるべきだった利益であり、事故時に得られるはずだったものではありません。
それを、賠償では前払いしてもらう性質があります。
そうすると、払う側は、その分の運用益まで失い、もらう側は得られるはずであった利益に加えて、それを前払いしてもらうことによって運用益まで得ることになります。

例えば、年100万円の労働能力が10年に渡り喪失した場合、年100万円を10年にわけて支払われるはずであるが、賠償はそれを今(厳密にいうと事故時に遅滞に陥る)受け取るのであるから、その分受け取るほうは運用ができてしまい、払う法は運用益も失ってしまう。
したがって、運用益をあらかじめ引いて支払うことにする。
それを簡単にしたのがライプニッツ係数というわけです。
今の時代、運用益年5%と言われても、多くの方がぴんとこない方が多いのではないでしょうか。
市中金利とはかけ離れていると思われるのではないかと思います。
年5%で計算すると、労働能力喪失期間が14年の場合、9.8986をかけることになります。
10弱ですね。
年100万円の労働能力が14年に渡り喪失した場合、100万円×9.8986と計算することになります。
運用益を考えなければ、10年弱しか喪失していないことと同じ結果ですね。

たしかに、年5%の運用益を想定するのが妥当な時代もあったでしょう。
また、妥当な運用益は刻刻と変化するからといって、毎年細かく法定利率を変えるべきというのも、安定性を欠き、物事が複雑になってしまいます。

そこで、新民法は、緩やかな変動制をとることにしました。
すなわち、「法定利率は、年3パーセントとする。(404条2項)」としたうえで、「前項の規定にかかわらず、法定利率は、法務省令で定めるところにより、3年を1期とし、次項の規定により変動するものとする。(404条2項)と定めて、3年に1回ルールに従って見直すこととしたのです。

年3%というと、前の例の14年の場合、11.2961です。
多少は実態に近くなったでしょうか。

ちなみに、このような中間利息を控除する場合には事故時(その損害賠償の請求権が生じた時点)の法定利率によることも明示されました。

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